GCPのContainer Registryに格納したDockerイメージにACLでアクセス権を設定する

タグ: gcp docker / 公開: 2017-04-16

サマリ

Google Cloud Platform(GCP)の外にあるホストからContainer Registry(GCR)に格納したプライベートDockerイメージをpullできるようにした方法のメモです。以下の4ステップで実現できました。

  1. Dockerイメージにアクセスするための専用のサービスアカウントを作成する
  2. Dockerイメージが格納されるGoogle Cloud Storage(GCS)のバケットに対してACLを設定する
  3. GCP外のホストにサービスアカウントの認証情報を設定する
  4. GCP外のホストからgcloud docker -- pullしてイメージを取得する

この手順はGCRの公式ドキュメントのアクセス制御を参考に、プライベートなDockerイメージを参照できるようにした手順になります。

前提

以下の前提があります。

  • GCRを既に使用している
  • GCP SDKのコマンド(gcloudgsutil)がインストールされており操作対象のプロジェクトにアクセスできるよう設定済み
  • GCP外のホストにGCP SDKのコマンド(gcloud)がインストール済み
  • GCP外のホストにDocker環境が構築済み

コマンドやサービスの仕様は執筆時点のものです。

検証に使用したソフトウェアのバージョンは以下のとおりです。

ソフトウェアバージョン備考
Google Cloud SDK145.0.0-
Docker Client1.12. 6-
Docker Server1.12. 6-

1. Dockerイメージにアクセスするための専用のサービスアカウントを作成する

サービスアカウントのページからサービスアカウントを作成します。この時点では権限は何も付与しなくて良いです。

サービスアカウントのキーを作成してキーファイルを保存しておきます。 このキーファイルをGCP外のホストに配布して認証に使用します。

この後の設定で使用するのでサービスアカウントIDを控えておきます。 サービスアカウントIDは以下のような形式です。

サービスアカウント名@プロジェクトID.iam.gserviceaccount.com

2. Dockerイメージが格納されるGoogle Cloud Storage(GCS)のバケットに対してACLを設定する

GCRそのものに権限設定はありません。 GCRがDockerイメージの格納先として使用するGCSのバケットとそのオブジェクトに対して権限を設定します。

GCRが使用するGCSのバケット名は以下の形式です。 プロジェクトでGCRを有効化していると作られているはずです。 GCSのページから確認して下さい。

リージョン.artifacts.プロジェクトID.appspot.com 

このバケットとバケット内のオブジェクトに対して、先ほど作成したサービスアカウントが、既存のDockerイメージと今後格納するDockerイメージの両方にアクセスできるよう、読み込み専用のACLを設定します。

GCPコンソールからもできますがバケット内のオブジェクトに再帰的にACLを設定することができないようなので、CLIのgsutilを使用してACLを設定します。

念の為:設定前のACLのダウンロード

念の為、設定前のバケットのACLをダウンロードして、書き戻すことができるようにしておくこともできます。

ACLのダウンロード

以下のコマンドを実行するとACLの設定が記述されたテキストファイルがダウンロードできます。 リダイレクトして保存しておきます。

gsutil acl get gs://リージョン.artifacts.プロジェクトID.appspot.com > acl.txt
gsutil defacl get gs://リージョン.artifacts.プロジェクトID.appspot.com > defacl.txt

ACLの書き戻し

このテキストファイルがあれば以下のようにしてACLを書き戻すことができます。

gsutil acl set acl.txt gs://リージョン.artifacts.プロジェクトID.appspot.com
gsutil defacl set defac.txt gs://リージョン.artifacts.プロジェクトID.appspot.com

読み込み権限の追加

バケットとバケット内のオブジェクトに対してサービスアカウントの読み込み専用の権限を設定します。

gsutil aclはGCSのACLを操作するコマンドです。 -rが再帰的な変更、-u アカウント:権限はユーザ単位の権限設定を行うオプションです。

以下はバケットとバケット内のオブジェクトにサービスアカウントで読み込みの権限を追加するコマンドの例です。

gsutil acl ch -r -u サービスアカウント名@プロジェクトID.iam.gserviceaccount.com:READ gs://リージョン.artifacts.プロジェクトID.appspot.com 

同様に今後バケット内に作成されるオブジェクトに対するデフォルトACLも設定します。 コマンドにgsutil defaclを使用し-rが無くなるだけです。(デフォルトACLの設定はバケット単位)

gsutil defacl ch -u サービスアカウント名@プロジェクトID.iam.gserviceaccount.com:READ gs://リージョン.artifacts.プロジェクトID.appspot.com 

詳細はgsutilの公式ドキュメントを参照して下さい。

3. GCP外のホストにサービスアカウントの認証情報を設定する

キーファイルをGCP外のホストに転送しておきます。 そして以下のようにgcloud auth activate-service-accountコマンドを使用して、認証情報を登録します。

gcloud auth activate-service-account サービスアカウント名@プロジェクトID.iam.gserviceaccount.com --key-file キーファイル.json --project プロジェクトID

詳細はgcloud auth activate-service-accountの公式ドキュメントを参照して下さい。

4. GCP外のホストからgcloud docker -- pullしてイメージを取得する

以上の設定が終わるとGCRのDockerレジストリからpullができます。 正しく設定できていれば、以下のようにgcloud docker -- pullすると、狙い通りイメージがpullできるはずです。

gcloud docker -- pull リージョン.gcr.io/プロジェクトID/タグ

詳細はgcloud dockerの公式ドキュメントを参照して下さい。

補足:gcloud dockerを使用せずにDockerイメージをpullする

私は試していませんがdocker loginhttps://gcr.ioにログインする認証情報を設定しておくことで、gcloud dockerを使用せずにdockerコマンドでGCRのレジストリにアクセスすることもできるようです。

GCRのリファレンスの高度な認証方式と、docker loginコマンドのリファレンスを参照して下さい。

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ぺけみさお / xmisao
プログラマ。
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